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2階にお風呂を設置したい!メリット・デメリット、向いている間取りについて解説
一般的な住宅の間取りでは、お風呂は1階にあるパターンが多いですよね。
一方で、狭小住宅やガレージハウスなど1階のスペースが限られている住宅の場合、お風呂を2階にレイアウトする間取りが検討されます。
敢えてお風呂などの水回りスペースを2階にレイアウトすることで、生活がしやすくなることもあるのです。
今回は、2階にお風呂を設置した場合のメリットやデメリット、おすすめの間取りについてご紹介します。
お風呂を2階に設置するメリット
お風呂を2階に設置するときのメリットは、次の4つが挙げられます。
①1階の居住スペースが広くなる
1階にあるお風呂スペースを2階に設けることで、1階部分の居住スペースが広くなり、さまざまな用途で使用できるようになります。
たとえば、1階部分を駐車スペースにする「ガレージハウス(ビルトインガレージ)」にしたり、2階にリビングなどの主要スペースを設けて1階を寝室や子ども部屋などをレイアウトしたり。
既成概念にとらわれず、自由な発想の家づくりが可能になります。
②防犯性に優れており、窓を開けやすい
1階にお風呂があると、隣家や道路からの視線が気になり、プライバシーの観点から「窓を開けながらの入浴」はなかなか難しいですよね。
対して2階にお風呂を設けた場合、1階に比べて外からの視線が気になりにくく、防犯性にも優れています。
窓を開けての換気もしやすく風通しが良くなるため、カビの発生を抑制できます。
③日当たりの良い場所に設置できる
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)と浴室を同じフロアにする間取りの場合、どうしても日当たりの良い南面は居室で占められてしまい、お風呂は北側の日当たりの悪い箇所に追いやられてしまいます。
1階にLDK、お風呂を2階にレイアウトすれば、南側の日当たりの良い場所に浴室を置くことが可能です。
さらに、日当たりの良さは「紫外線による殺菌効果」や「赤外線による暖房効果」も期待できます。
日中お風呂に入ることが多い方や、入浴時の快適性を重視したい方におすすめです。
④洗濯動線がラクになる
2階のベランダ(バルコニー)で洗濯を干す間取りであれば、2階に浴室を設け、洗濯機置き場を隣接させることで洗濯動線がスムーズになります。
入浴時に脱いだ洋服を洗濯し、そのままベランダ(バルコニー)に直行できるため、水分を含んだ重い洗濯物を持って階段を上り下りする必要がありません。
お風呂を2階に設置するデメリット
ここからは、2階にお風呂を設置した場合のデメリットを7つご紹介します。
①建築費用がかかる
お風呂を2階に設置する建築費用は、1階に比べて高くなってしまう傾向があります。
それは「工事が複雑になる」ことが理由です。
- 配管距離が長くなる
- 高圧タイプの給湯器を設置する必要がある
- 防水対策が必要になる
1階での設置では必要なかった工事や設備が必要になります。
②2階の居住スペースが狭くなる
お風呂を2階にすることで、必然的に2階の居住スペースが狭くなってしまいます。
個室を2階にレイアウトする間取りでは、各個室が狭くなってしまったり、十分な数を確保できなくなったりと、間取りに制限がでてしまう恐れが……。
家全体の間取りのバランスを考えて計画しましょう。
③水漏れの可能性がある
2階にお風呂を設けることの一番のリスクが「水漏れの心配」です。
万が一、配管トラブルなどで水漏れを起こしてしまった場合、1階部分が水浸しになる恐れがあります。
木造住宅だと、浸水により柱や梁が腐食して強度が下がってしまうことも考えられます。
浴槽パンを設けるなどの対策がありますが、費用がかかったりカビが発生したりする点に注意しましょう。
④パイプスペースが必要になる
2階への給排水のためには、パイプスペース(PS)が必要になります。
パイプスペースとは、1階と2階をつなぐ配管(パイプ)が通る空間を指します。
パイプスペースは意外と場所をとるため、間取りに干渉してしまい、レイアウトが制限されてしまうことが難点です。
リフォームの際も、基本的に位置を動かすことはできないため、設計の際にはパイプスペースの位置についてよく検討しましょう。
⑤水圧が弱くなる
1階のお風呂に比べ、2階のお風呂だと水圧が弱くなる傾向があります。
地上から2階に水を送ってシャワーを使用することになりますが、1階のお風呂で使用する給湯器と同じものだと、水圧が足りずにシャワーが弱まってしまいます。
2階にお風呂を設ける際には、給湯器は高圧タイプのものを選びましょう。
⑥排水音が気になる恐れがある
入浴の際、2階から1階へ排水する音が思った以上に響いてしまうことがあります。
特に1階に寝室を設ける場合、浴室の真下を避けてレイアウトしたり、入浴の時間帯に気を遣ったりなどの配慮が必要となるでしょう。
⑦高齢者には使いづらい
年を重ねると、階段の上り下りが負担になります。
2階への上り下りの際に、足を踏み外してケガをしてしまう危険もあります。
ただでさえ、高齢者にとって入浴は億劫な作業です。
わざわざ負担のかかる階段を上り下りして、入浴すること自体が嫌になってしまうことも懸念されます。
さらに、介護が必要になったときに2階まで連れていけず、自宅での入浴が困難になってしまう恐れも……。
2階にお風呂を設置する際には、将来のさまざまなリスクを見据えることも重要です。
「2階にお風呂」が向いているのはどんな間取り?
ここからは、2階にお風呂を設置するのがおすすめな間取りについてご紹介します。
寝室が2階にある間取り
お風呂と同じく2階に寝室を設ければ、入浴後に寝室に直行できます。
朝に入浴する習慣のある方も、起きてすぐ浴室に向かえるので、生活動線が短縮された効率の良い間取りづくりが叶います。
バルコニーやベランダに洗濯物を干す間取り
「メリット」の項目でも解説しましたが、お風呂と洗濯機を隣接させることでスムーズな洗濯動線を実現できます。
洗濯機からベランダ(バルコニー)までの移動距離が短くなるので、家事を効率化したい方におすすめです。
お風呂から見える景色を意識した間取り
浴室の窓を大きくしたいときには、防犯面やプライバシーの観点から2階にお風呂を設置すると良いでしょう。
隣家や道路など外からの視線を気にすることなく、のびのびと入浴できます。
お風呂を2階に設置するときの注意点
「デメリット」の項目でもお伝えしましたが、お風呂を2階に設置する際にはさまざまな注意点があります。
防水対策や排水計画は入念に
水漏れや排水による流水音は、生活に支障をきたします。
「お風呂を2階に設置したい」という方は設計士に相談し、防水対策と排水計画についてよく検討しておきましょう。
特に給排水で必要となる「パイプスペース(PS)」は間取りにも大きく関係してきます。
レイアウトを間違えると「部屋の中に不自然な凸凹がある」間取りになりかねません。
エコキュートは高圧タイプを選ぶ
先述していることではありますが、給湯器でも特に「エコキュート」を設置する際には高圧タイプを選ぶようにしましょう。
水圧の弱いシャワーは、人によってはかなりのストレスを感じる原因になります。
毎日使用するものですので、2階にお風呂をつくるときには給湯器の仕様にもこだわりましょう。
まとめ
「2階にお風呂のある間取り」は一般的な住宅とは違い、個性的な家づくりが叶う憧れのレイアウトでもあります。
生活スタイルによっては、2階にお風呂があることでとても暮らしやすい間取りになるでしょう。
一方で、さまざまなデメリットがあることも忘れてはいけません。
住み始めてから「こんなはずではなかった」と後悔しないように、設計の際にはプロに相談しながら、万全の対策をしていきましょう。