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介護しやすい家ってどんな家?おすすめの間取りや家作りの注意点も解説

注文住宅を建てるとき、将来のことを考えて介護しやすい家にしたい方も多いのではないでしょうか?バリアフリーを意識した設備や間取りにしたいけど、「介護しやすい家ってどんな間取りがいいの?」「どんなことに気を付けたらよい?」など、気になることはたくさんありますよね。この記事では、おすすめの間取りや家作りの注意点などについて解説します。今後、介護しやすい家を建てる予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

介護がしやすい家ってどんな家?


介護しやすい家とは、高齢者や介護される人だけでなく、小さな子どもや妊婦さん、ケガをしている方など誰もが安心して暮らせる家でもあります。そして、介護しやすい家には3つのポイントがあります。それは、段差がなく転びにくいこと・家の中を移動しやすいこと・温度差がないことです。

段差がなく転びにくい

1つめは、段差がなく転びにくいことです。体の自由が利かない高齢者や、車椅子ユーザーは、ほんの数センチの段差であっても転びやすくなってしまいます。段差をなくすことで、転倒を防ぐことができます。

段差をなくす方法は、床を上げたり段差解消用の部材を設置したりする方法があります。段差をなくすのが難しい場合は、フットランプを設置するのもおすすめです。

家の中を移動しやすい

2つめは、家の中を移動しやすいことです。移動しにくい間取りだと、向きを変えたり遠回りしたりと、介護する人もされる人もイライラ。家の中を動き回りやすい間取りにすると、スムーズに移動しやすくなります。手すりを付けると、さらに移動しやすくなるでしょう。

温度差がない

3つめは、家の中に温度差がないことです。家の中に温度差があると、ヒートショックにより心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクがあります。温度差をなくすことで、身体にかかる負担を最小限に抑えることができます。トイレや洗面所などに、冷暖房や換気設備を適度に配置して、温度差がないようにしましょう。

また、温度差をなくすことは家の結露やカビ予防にもつながり、家が長持ちしやすくなります。住宅の気密性・断熱性を高くすると、室内の温度差が少なくなりますよ。

介護しやすい家の間取り


介護しやすい家には、共通点があります。それは、間取りを工夫しているということです。では、具体的にどのようなことを工夫したらよいのでしょうか?

トイレやお風呂は要介護者の部屋の近くに

トイレやお風呂は、介護される人の部屋の近くに配置します。トイレやお風呂の介助をするとき、寝室からトイレやお風呂が遠かったら、移動距離が長くなって大変ですよね。トイレやお風呂は、介護される人の部屋の近くにすると、介護がグンと楽になります。

また、高齢になると夜にトイレに行くことが増えるので、夜中に転倒しないかなど心配になりませんか?冬はヒートショックも心配なので、できるだけ寝室の近くにトイレとお風呂を作ることで、介護される人の身体にかかる負担も軽減しましょう。

寝室やリビングと水回りは1階

1階に寝室やリビング、水回りなどをすべてまとめると、階段の上り下りをたくさんする必要がなくなります。さらに、リビングと介護される人の寝室をつなげると、体調に何か変化があったときに気付きやすくなりますよ。

廊下や出入口は広めに

廊下や出入口は、十分な広さを確保してください。目安は、介護する人と介護される人が並んで歩けるくらいです。幅にゆとりを持たせないと、車椅子に乗ったまま利用すると廊下や出入口が狭く感じる可能性もあるので注意してください。

洗面台の高さは車椅子に合わせて

洗面台の高さは、車椅子に合わせるのがポイントです。若い人や健康な人にとって使いやすい高さは、車椅子のユーザーが使いやすい高さとはいえません。車椅子に合わせた高さは、健康な人にとっては若干使いにくいかもしれませんが、小さな子どもにも使いやすいでしょう。なお、洗面台下に収納スペースを作らない方が、車椅子に乗ったまま洗面台に近づきやすくなります。

キッチンやリビングは高さを調整しやすく

キッチンやリビングのテーブルも、高さを調整しやすいものが望ましいです。高齢になると、立ったまま調理すると疲れたり足腰を痛めてしまったりすることも。ときに、椅子に座って調理することも少なくありません。ただ、椅子に座ったままの調理だと、調理台の高さが合わず使いにくいこともしばしば。

そこで、予め高さを調整できるキッチンにしておくと、高齢者になってからもキッチンを使いやすくなります。高さを調整できるタイプにすると、身長差のある夫婦が一緒に料理するときや子どもが手伝うときも便利ですよ。キッチンそのものの高さを調整するのに抵抗ある方は、床部分を上げ下げする方法もあります。

リビングも、キッチンと同様です。家族みんなが一緒に食事できるように、テーブルには車椅子のまま入れるようにしたいもの。テーブルの高さは70cmを目安にしてください。高さを調整できるタイプのテーブルならば、車椅子の高さに柔軟に合わせることができます。

キッチンはリビングが見えるところに

キッチンは、リビングが見えるところに位置しているとよいでしょう。高齢者は、食事中に食べ物を喉につまらせたり誤飲してしまったりするリスクがあります。リビングがよく見えるところにキッチンがあると、料理を作ったり食器洗いしたりしているときでも、トラブルにすぐに対応できます。

バリアフリー住宅にするには


バリアフリーは、高齢者や障がい者などすべての人が、生活する上で支障あるものを取り除くことです。つまり、床をできるだけフラットな状態にする必要があります。床をフラットにすることで、妊婦さんや小さなお子さんも、転倒したりケガをしにくくなるでしょう。
バリアフリー住宅にするには、そのほかにもポイントが4つあります。それでは、どんなことに注意したらいいか、1つずつ見てみましょう。

オール電化を導入

キッチンには、火を使わないオール電化の導入をおすすめします。高齢になると、火の消し忘れによる火災が多くなることをご存知ですか?火災のリスクを最小限に抑えるためにも、オール電化を検討してみてください。調理・空調・電気・給湯などのすべてを電気で対応することができるので、安心です。

バスルームは広め且つ滑りにくいもの

バスルームは、転びやすい場所です。浴槽の立ち上がり部分で足をとられやすいので、脱衣室と浴室の段差をなくすようにしましょう。お風呂は、介護者と一緒に入れる広さと幅が必要です。浴槽を滑りにくい素材にすると、小さなお子さんや妊婦さんも安心ですね。入浴用の車いすや、車いすから浴槽への移動を手助けしてくれるトランスファーボードなどを活用するのもよいでしょう。

トイレは広めに

トイレも、十分な広さがほしいところです。介護する人と介護される人の両方が入れるくらいの広さと幅を目安にしてください。ヒートショック防止のため便座は暖房便座にし、可能であればトイレ内に暖房器具も設置してください。もちろん、トイレの出入口も、車いすが十分に通れるくらいの幅にします。間取りの都合上、トイレと洗面所が遠くなる場合は、トイレ内に手洗いスペースをつくるとよいでしょう。

玄関にはスロープを

玄関にスロープがついていると、高齢者そして妊婦さんや子どもも転びにくくなります。杖をついている高齢者にとって、階段や段差は障害になります。ただし、玄関のスロープは意外と場所をとるので、注文住宅を建てる時点で組み込んでおくと安心です。

または、玄関ポーチにスロープを後付けできるよう、十分な広さを確保しておくのも1つの方法です。常時車椅子を利用している場合は、庭など外部へ直接アプローチできるスロープがおすすめ。通院のときにも、車への移動が楽になりますよ。ちなみに、スロープを付ける場合は、傾斜角度に注意してください。角度が急だと、かえって転倒する可能性が高くなってしまいます。

快適に暮らすために工夫したいこと


介護される人も介護する人も快適に暮らせる家には、いくつかのポイントがあります。このポイントを押さえるだけでも、快適に過ごせるようになります。それでは、1つずつ見てみましょう。

手すりを設置する

手すりを設置することで、転倒の予防につながります。手すりをつけたい場所は、主に、トイレや浴室などがあげられます。トイレやお風呂は、しゃがんだり腰をかがめたりするので、手すりがあると体にかかる負担も軽減できるでしょう。

トイレの手すりは、介護する人にとっても重宝します。介護される人の腕を首に回してもらって、中腰になったままトイレに座ってもらうので、介護する人はかなり腰に負担がかかるのです。手すりがあることで、かなり楽になりますよ。

また、浴槽と洗い場につける手すりはL字型にすると、立ち上がりやすくなります。将来的に手すりを付ける場合は、壁に手すり用の下地を入れておくと、リフォーム工事のときに大がかりになりません。

ドアを引き戸にする

ドアは開き扉よりも引き戸にする方が、開口部を広く作ることができます。玄関やトイレは、特に引き戸にした方がよいでしょう。開き戸を開けるには、予想以上に力が必要です。その点、引き戸は、開ける力が少なくてすむので、高齢者でも開けやすいのです。扉を外して壁に上吊りレールを設置する「アウトセット引戸」だと、引き戸に気軽に変えることができますよ。

出入口を複数作る

介護を受ける人の部屋には、複数の出入口が必要です。火事や地震などいざというとき、部屋からすぐに脱出できるようにするためにも、複数の出入り口があると安心ですね。通院時に、部屋から直接外に出られると、車に乗るまでの時間を短縮することもできます。

床を滑りにくく丈夫な素材に

床は、転倒防止のために滑りにくいのはもちろんですが、車いすで通っても傷がつきにくい丈夫な素材が望ましいです。畳やタイルは滑りやすく、タイルカーペットやコルク、ゴム素材などが滑りにくいです。さらに、衝撃吸収性の高い素材にすると、万が一転倒しても安心ですね。

トイレは、水やアンモニアに強い材質にすることをおすすめします。また、スリッパをはかなくても、不潔にならない素材が好ましいでしょう。

しっかりと照らせる照明

照明は、必要な範囲をしっかりと照らせるようにしましょう。加齢とともに視覚機能は低下し、視野が狭まるといわれています。人によっては面倒くさがって電気をつけない人もいるかもしれません。その場合、自動でスイッチが入る感知式照明を導入すると便利です。また、リモコン式のスイッチを活用するのもおすすめです。

リビングに小上がりを設置

リビングに小上がりを設置すると、さまざまな場面で重宝します。テーブルを小上がりに寄せれば、高齢の方や椅子に座るのが難しい方は小上がりに座ったまま、みんなと一緒に食事できます。小上がりは、疲れたとき横になることもできるし、赤ちゃんのお昼寝スペースや小さな子どもの遊び場にもなるし、来客時のスペースとしても重宝します。

介護しやすい家作りの注意点


せっかく介護しやすい家を作ったのに、介護される人が使いにくかったり、または介護する人の負担が増えてしまったり、ということは避けたいものです。介護しやすい家づくりで失敗しないように、ここでご紹介する6つの注意点をしっかりと理解しておきましょう。

掃除が大変ではないか

段差をなくすことで、掃除が大変になってしまうケースがあります。その代表例が玄関です。玄関が低いと、枯葉や砂、ほこりなどが入りやすくなるのです。玄関にゆるやかなスロープをつけると、掃除もぐんと楽になるだけでなく、車椅子でも移動しやすくなりますよ。スロープに水道を引いておいたり、車いすのタイヤを掃除しやすいように工夫したりすることも重要です。

1人でも自立して利用できるか

介護しやすい家は、介護される人が自立して暮らせる家でもあります。トイレを介助されるのは恥ずかしいため、トイレはできるだけ1人で済ませたいと思う人も少なくありません。トイレに手すりがあると、自分で立ったり座ったりしやすくなります。また、便座が電動で昇降するトイレリフトの導入も、おすすめです。

段差がない家だと、介護される人が車椅子で1人で移動できるようになります。キッチンやトイレ、洗面所など各所に、車いすが回転できるスペースを確保しておくと、車いすで自走しやすくなるでしょう。

要介護者の身体に合っているか

快適だと思う高さや幅は、介護される人の身体によって異なります。例えば、手すりの高さは男性と女性では大きく異なります。介護しやすい家を作るときは、要介護者の身長や身体の幅、車椅子のサイズなどを考慮しましょう。

また、バリアフリーの必要な箇所や設備もそれぞれ。車椅子で自走できる人もいれば、介助が必要な人もいます。もし、最適な高さや幅がわからないときは、担当のケアマネージャーに相談してみてください。

適度な距離感がある作りか

介護される人と介護する人に適度な距離感がある間取りにすることが重要です。いつも一緒ですべて介助すると、介護する人の負担が増える一方。「近すぎず離れすぎず」をモットーに、間取りを考えましょう。

介護はいつまで続くかわからないものだからこそ、介護する人に負担がかかりすぎないことが重要です。同じ家の中にいても、適度な距離感を保ち、介護する人が自分の時間を持てるようにしたいですね。

優先順位を付けているか

あれもこれもと設備を増やすと、予算を大幅にオーバーするので要注意です。今すぐ必要な設備かどうか考え、優先順位をつけてみましょう。予算内で収まるようにするには、まずは使用頻度の高い場所や危険の多い場所、つまりトイレや浴室の設備を検討することが重要です。

今すぐに必要でないものは、いずれ必要になったときに購入しましょう。例えば、廊下に手すりを付ける場合、必要になるタイミングで付けたほうが、ニーズに合うものを取り付けるのも1つの方法です。

バリアフリーに詳しい会社かどうか

家づくりで失敗しないためには、バリアフリーに詳しい会社に依頼することが必須です。バリアフリーに関する知識がある会社ならば、家庭の状況に最適な提案をしてくれるでしょう。バリアフリー住宅や介護リフォームの実績があり、福祉住環境コーディネーターが在籍している会社を選ぶことをおすすめします。

介護する側される側の両方にとって快適な家にしよう


注文住宅は、自分たちの要望を採り入れることができるからこそ、本当に必要な設備なのか、介護しやすい間取りになっているか、しっかりと考えることが重要です。手すりや引き戸、スロープなどを上手に活用して、安全・安心な家にしたいもの。介護する側、介護される側の両方にとって快適な家になるように、理想の住まいづくりを実現しましょう。

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